染色用工業糊〜プリント類の縁の下の力持ち〜
染色用工業糊とは
米ぬか、モチ米、海藻、パルプ、ある種の木の実など、実にさまざまです。
着物・浴衣・反物の染色、洋服・ドレスのプリント、社寺のお守りの接着など
「糊(のり)」という言葉を聞くと、一般的には接着剤としての糊を想像されるのではないでしょうか。しかし弊社が製造・販売している糊は、接着用のものではございません。
皆様がお召しになる着物やプリントの洋服などには、美しい柄の絵模様が施されていますが、その染色物の加工工程中に不可欠なものが、弊社が製造している「染色用工業糊」なのです。
熟練の技術者が製造する弊社の炊き糊は高品質で、イタリアから技術者が視察のために来社されたこともございます。
糊は染色加工工程の一部を受け持ちますが、最終的には洗い流しますので、生地上には一切存在しません。まさに、染色物の「縁の下の力持ち」のような存在なのです。
京都の伝統産業「京友禅」の継承を支えます
友禅染の製造工程
この下絵は、水で洗った際に消えます。
下絵の線を糊でなぞり、柄の輪郭線を作ります。
輪郭線の中を染めていきます。
糊や、余分な染料を洗い落とします。
色数が多く絵画調の模様を着物に染める友禅染にも、糊は無くてはならないものです。
友禅染には下絵の線を糊でなぞっていく「糸目糊置き」という工程があります。糊で覆われた部分は、染料に染まらないため、後で糊と下絵の線を洗い流すと、糊を置いた部分が白く繊細な線として残ります。つまり、糸のように細く置かれた糊が模様の輪郭線となり、柄の形を決めるのです。「糊置き」は熟練した職人によって行われる、友禅染めの要です。
明治4年に弊社の前身である近庄製糊株式会社の4代目徳五郎が京で友禅糊商を始めて以来、多くの友禅染業者様に弊社の糊を使用していただいております。京都の地場産業であり、芸術的にも技術的にも世界に誇る京友禅の継承のためにも、弊社は今後も変わらず友禅糊の製造販売を続けてまいります。
鳥取砂丘のラクダと近庄の意外なつながり?!
弊社は製糊にプラスチック製の桶を使用しておりますが、古くなった桶は捨ててしまうのではなく、意外なところへリサイクルしております。それは、鳥取砂丘のラクダの餌桶! 「ものを大切にする」という先代の教えを引き継いだ、ちょっと変わったアイデアです。